プロモート盤とは、サンプル盤よりもさらに一ヶ月くらい前、通常盤発売の約2〜3ヶ月前に販売戦略の目的で市場調査を行うために関係機関に配布するレコードである。
通常においては新人歌手がレコードデビューする際、新人たるが故にどの程度売れるのか? 知名度は? どのようなセールス方法があるか?等販売戦略のための基礎データが皆無に等しい。 そこでプロダクションやレコード会社が販売戦略の構想を練るために、発売されるレコードのイメージに沿った収録曲で1000枚程度を目処にプレスされ配布して調査するためのレコード盤である。
また、単に新曲をリリースする前の販促用としても使用されることもあり、配布時期の関係からタイトル未定だったり、曲名が変わったりすることもあるようで、通常盤には収録されていない On Air用の「Radio Edit」など別バージョンが収録されているのも珍しくない。
いずれにしてもプロモート盤を注意深く見てみると、レーベルやアーティスト等の思惑や販売戦略が色々と推測することができ非常に興味深いレコードである。

サンプル盤やプロモート盤には「サンプル」「見本盤」等といったステッカーや刻印による表示があるが、これらの表示はレコード会社がプロモーション等の目的で、試聴してもらうために 「貸与」していることを表している。従って、そのサンプル盤やプロモート盤等の所有権はレコード会社が有しているので、そのレコード会社に無断で譲渡や売買することはできない。
これはCDとなった現在でも同じである。
(日本レコード協会より)


※その他情報を御存知の方は書込みをお願い致します。

1.つばさ/あこがれ

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キャンディーズが解散しても、ファイナルカーニバル・プラスワンやビデオ、その他レコードや書籍、関連商品の売れ行きは減少どころか鰻のぼり。
この人気に更なる利益を得ようと目論んでいたCBSソニーはベスト盤ではない新譜のレコードをリリースしようと画策していた。


●昭和53年(1978) 6月14日付けの新聞記事から
※どの新聞社の記事か御存知の方は御連絡ください。

キャンディーズ 未発表曲 秋にもお目見え

”あこがれ””つばさ”など

つばさ/あこがれ新聞記事.jpg

”普通の女の子”に戻ったキャンディーズの未発表曲が、この秋ごろファンの前にお目見えしそうである。
五万人を動員した後楽園球場での「ファイナル・カーニバル」からニヵ月、キャンディーズ熱はさめるどころか、気温の上昇とともにホットになる一方。このムードにCBSソニーも”お蔵入り”になっていた未発表曲の発売を検討、早ければ秋には市場に出回る。

未発表曲は、キャンディーズがCBSソニーと契約中に吹き込んだものだ。しかも、十数曲が日の目を見ないままマスター・テープ(レコードの原版となるラッカー盤を刻む完全テープ)の形で、東京・市ヶ谷のCBSソニー本社の倉庫に眠っている。
もちろん「契約中」の作品だから、LPにまとめようが、シングル盤で出そうが、法的には問題はない。

あとは本人たちのゴーサイン待ち
すでに関係者の間で合意

しかし”道義的”なものがひとつだけひっかかっている。四月四日のファイナル・ステージのあと、三人は「一枚のレコードも出したくありません」と強く希望していたからだ。CBS側も「彼女たちの意向を無視するわけにはいかない。あくまでも合意にもとづいてから…」と、発売をためらっていた。
ところが、楽曲版権を持っている渡辺音楽出版とCBSの間ではすでに合意が取りつけられ「あとは本人たちのキュー待ち(ゴーサイン)。それも時間の問題です」(CBSソニー)という。

これを裏付ける話として、ファンなら先刻ご存知の”新曲”がある。後楽園ライブのLP「涙の微笑みがえし!キャンディーズ・ファイナル・カーニバル」の中からシングル盤で「つばさ」(伊藤蘭作詞、渡辺茂樹作曲)と「あこがれ」(藤村美樹作詞、藤村・渡辺茂樹作曲)の二曲だ。
この二曲は、非売品のプロモート・サンプル盤として千五百枚プレス、全国の有線放送とラジオ局へ配布した。
プロモート盤の反応は十分で「一般のレコード店に置いてほしい」「売って下さい。神様!お願い」といったファンからの要望が相次いでおり、「早急に製作会議で決定し、秋までには”あこがれ”や”つばさ”の有料盤(一般のシングル盤)を出したい。それに続いて未発表のものを…」 CBSでは踏んでいる。

その後の彼女たち
CBSと契約?

後楽園のあとの三人は。ファンにとって一番気になるのが、あの感動シーンの後の彼女らの近況と身のふり方だ。
後楽園直後、これまでできなかったプライベートの海外旅行を楽しみ、また、じっくり腰をすえて観賞できなかった映画、ステージを、そしてショッピング… と六年ぶりの”私生活”を味わっている。
しかし、それもつかの間、ランがテレビ・ドラマに出演?とかミキが店を経営…とまことしやかなうわさが週刊誌などで書き立てられている。
各レコード会社は個々に交渉しているが、CBSソニーでは、契約が切れたとはいえ”実績”がものをいってかなり有利。
作詞・作曲の能力もある三人の実力を高く評価、ソロ・シンガーとしてひとりひとりと新たに契約を結ぶことを検討しており、うまくいけば三人そっくりCBSソニーと契約ということもあり得る。


この新聞記事にもあるように、CBSソニー側は表向きには三人の意向を尊重しているように見せていたが、その裏側では渡辺音楽出版とCBSソニーの合意が出来ていて、三人に承諾の話しをする前にこのプロモート・サンプル盤を作成し市場調査を開始していた。
この市場調査と承諾の話しに対して三人は「一枚のレコードも出したくありません」の意志のとおり抗議し発売中止を要望。また元全キャン連メンバー(松山氏が抗議した文献が何かの紙面に掲載されていた。出典求む。)も強く抗議した。
この抗議でシングル「つばさ/あこがれ」は計画中止となり渡辺音楽出版とCBSソニーの欲に駆られた正規盤はついに日の目を見ることなく幻のシングル盤となった。

しかし、5ヶ月後に、この幻のシングル盤は「つばさ/グッドバイタイムス」に姿を変えファンの前に現れる事となる。

新聞記事には、ファンからの要望が相次いで… と書かれているが実際は、熱心なファンほど三人の意志を尊重していたので、このシングル盤の発売企画には難色を示していた。

また、このプロモート盤を「ファイナルカーニバル・プラス・ワン」のプロモート用だと思い込んでいる人もいるようだが、それは間違いである。
なぜなら、プロモート盤の意義を理解した上で、このプロモート盤の製作時期が「ファイナルカーニバル・プラス・ワン」発売以降であることは、ジャケット裏に「ファイナルカーニバル・プラス・ワン絶賛発売中!」と明記されている。おまけに「ファイナルカーニバル・プラス・ワン」のサンプル盤(LP盤もサンプル盤は作られる)もある事から同アルバムのプロモート用とは成り得ない。

配布日1978年 6月 日
レコード盤号YALA-43
A面曲(演奏時間)つばさ (4:45)
B面曲(演奏時間)あこがれ (4:03)
マトリックス番号A面:YALA-43A1 B面:YALA-43B1
メタルマスター番号A面:1A1 B面:1A1
録音方式2ch ステレオ
製造枚数1500枚
ジャケット撮影大竹正明
初回価格非売品


レーベル備考
サンプル盤
EPつばさ/あこがれサンプル盤.jpg
「あこがれ」の注意書きに「この曲はシングル用に短く編集してあります」と記述されているが、2コーラス目をカットしてファイナルカーニバルと同じ構成にしようとした事が伺える。


2.出典、参考文献

・日本レコード協会
・プロモート盤
・松山氏が抗議した文献が何かの紙面に掲載されていた。出典求む。


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Last-modified: 2010-05-02 (日) 14:22:15 (2699d)