穂口雄右氏がCD-BOX CANDIES HISTORYに寄稿された「現実となったビジョン」の「キャンディーズとの別れ」の中で記された「夏が来た!」の回想について、意外なところから
タイトルも違っていたとされる「夏が来た!」の原題が発見された。
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1.説明 †
穂口雄右氏が1998年9月9日に発売の CD-BOX CANDIES HISTORY に寄稿された「現実となったビジョン」の「キャンディーズとの別れ」の中で「夏が来た!」の回想について以下のような一文を述べています。
告白すれば「夏が来た」はキャンディーズの為の作品ではありません。タイトルも違っていました。
この記述を裏付ける証拠が、昭和51年6月新譜強力ハイライト盤 店頭デモンストレーション用として昭和51年5月中旬に全国のレコード店に配布されたデモ盤に残されていました。
このデモ盤は、A面が洋楽、B面が邦楽で構成されており、B面3曲目に「君、元気かい! 06SH12 唄/キャンディーズ」と印刷されており、レコード番号も06SH12の「夏が来た!」と合致します。
6月新譜のデモ盤ということは、5月中旬には全国配布する関係で4月中旬〜5月中旬頃にかけて大量プレスする。
普通のサンプル盤とは違い全国のレコード店に配布するためプレス枚数が多い。
したがって、収録曲のトラックリストをまとめてレーベルの印刷に入るのは4月初旬となる。
A面が洋楽で、6月新譜として揃うかどうかは変動する可能性があるため、実際の6月新譜のトラックリスト作成の作業に入るのは3月中旬〜下旬頃と思われる。
当然、トラックリスト作成の時にはとりあえず曲名、作曲者、作詞者という情報だけあればいいので、音源が揃ってなくても構わないのである。
そのようなスケジュールでみてみると、「春一番」が発売されたのが1976年3月1日なので、「春一番」が発売された直後には「君、元気かい!」という次の新曲タイトルだけが決まっていた事になる。少なくともレーベルの印刷に入る4月初旬頃までは誰に作詞、作曲を依頼するのか未定だった事がレーベルの作詞、作曲者名が空白になっている事からもわかる。
「夏が来た!」の発売は1976年5月31日で、サンプル盤を作成するのがおよそ1ヶ月前とみても、4月中旬〜下旬ではデモ盤のレーベル印刷に間に合わないため「君、元気かい!」のタイトルが「夏が来た!」に差し替えられる事なく原題のまま全国のレコード店に配布されてしまった。という事になる。
穂口雄右氏が言うように、キャンディーズの曲の中でも一人称が僕という言い回しをするのは珍しく、元々は男性歌手用の曲だった事がわかる。
当時、穂口氏が提供するような男性歌手(アイドル)は、他の男性アイドルだと年齢的にちょっと上になってしまうので、曲のイメージからも、一般通説からも「あいざき進也」が一番妥当と思われる。それが何故、キャンディーズに廻ってきたのか不明である。
また、4月1日に発売されたLP「春一番」に収録されていた「恋のあやつり人形」が、シングルカットして欲しいとの要望が多かったのも丁度この頃であったのも見逃せない。
配布日 | 1976年5月中旬 |
レコード番号 | YALC-57 |
B面3曲目(演奏時間) | 君、元気かい! (3:14 通常盤「夏が来た!」と同じ収録テイク) |
マトリックス番号 | A面:YALC-57-A1 B面:YALC-57-B1 |
録音方式 | 2ch ステレオ |
初回価格 | 非売品 |
2.出典、参考文献 †
・昭和51年6月新譜強力ハイライト盤 店頭デモ用
・現実となったビジョン